2009年6月17日水曜日

中国におけるM&Aの特徴その1           ~不規則な地域分布~


日本なら、M&A案件が最も集中するのは、勿論東京を中心とする首都圏でしょう。
中国の場合もそうだと思ったら、少し違います。
上海、北京、広東の経済が最も発展しており、優良企業も多いですが、案件化
までできるケースも多いとは限りません。逆に経済成長が比較的に遅れている
地域(一人あたりGDPが低い地域)でM&A案件が集中したりする場合があります。
その一例が「河南省」であります。

2003年香港の中堅投資会社Oriental Patron(東英投資, BVI)が河南省のある
地方政府から預聨集団(エネルギー事業と中心とするコングロマリット)を3億RMB
で78%の株式を買収したのを皮切りに、河南省で目立つM&A案件が続出しました。
例えば、
2006年2月  住友商事が天方薬業集団に20%出資し、2番目の株主に。
2006年4月  ゴールドマンサックスと鼎暉(中国トップの本土系PEハウス)が中国
         No.1の肉加工品メーカー「SHINEWAY」を20億RMBで買収。
         当時の中国における最大規模のPE案件になった。
2006年12月 シンガポールの不動産企業が河南省の不動産大手に5億RMB出資、
         30%の株式を取得
2007年7月  鼎暉がある石炭会社に7億RMB出資、29.2%の株式を取得
2007年9月  米PEファンドKKRがあるコンクリート製造会社に1.15億USD出資
2008年4月  テマセクがある資源系企業に9000万RMB出資し、20.7%取得

ほかに、上場直前にPEファンドからの出資を受け、米国や香港にIPOした事例も
数件ありました。
また、最近豪州のマグネシウムメーカーAdvanced Magnesium Limitedが河南省
のある全く知名度のない資源系企業を1500万RMBで買収したこともありました。

上記のように、プレヤーからみても、案件のロットからみても、同地域におけるM&A
が紛れなく他地域より活発であります。

では、そこに何か特別な理由はあるのでしょうか?

実は、私は中国ではいわゆる上海、北京、広東などの一線都市だけではなく、
それより少し 知名度の劣る二線都市、三線都市でも、多くの民営企業が成長
しており、 中型の国有企業民営化案件も多くあるとみています。
PE/VCがどこに行っても、ちゃんとその地域で根をはって、ネットワークを作れば、
優良な投資案件はいくらでもあると考えています。
河南省がたまたまその中で目立ったのは、 上述の要素に「地方政府が海外資本の
受け入れにオープンであること」、「何件かのシンボリック案件の波及効果が同地域
でいい具合にあがっている」の2点が加わり、上記のような特別な現象を生み出した
のだと考えます。

“河南省現象”は中国投資の特殊性の象徴の1つであり、逆に中国には非常に豊富
な案件ソースがあることを示唆してくれた現象でもあると思いました。

日経6/16朝刊「大機小機」より名言抜粋

タイトル:ほっと一息、に安住するな

・・・前略
ITバルブ崩壊後の米国企業不祥事を受けて導入された「日本版SOX法」など企業の
内部監査の行き過ぎも組織を疲弊させている。
体裁を繕うだけのリスク忌避や弱者保護のための規制強化がもたらすのは
成長力に乏しいひ弱な経済だ。

ほっと一息ついた今こそ、イノベーションへの挑戦を改めて後押しすべきだ。
リスクに挑む野生を取り戻さないと、株価の大台維持すらままならない。(六光星)

ーーただただ頷くばかりです。大変共感しております。